「テンリロ★インディアン」
「アメリカ合衆国 カンザス州−。平和な田舎町を襲った白昼の強盗事件。容疑者として連行されたのは…。9人の日本人だった」
http://www.6ban.com/what6c/6cayumi/kouenkiroku/ten/tenriro.htm
2003年冬。
有名サイト「ろじっくぱらだいす(ろじっくぱらだいす(Logic Paradise) | 毎日、ちょっとした楽しさをあなたへ。)」で宣伝されていて、好奇心で劇団サイトを覗いてみた。
売り文句は
「同じストーリーを男子バージョンと女子バージョンでやっちゃいます」
「9人の男バージョン&9人の女バージョンで送る」
Wキャストは知っているが、性別を変えて行う劇など私は見たこと無かった。
こいつは面白そうだと衝動的に男子&女子の二公演続いている日のチケットをネット予約した。
舞台は品はよいが広くはない、文化芸術とはこういう物かしらと納得させられそうになるような、地下の小ホールにあった。
この薄暗い場所で13:00〜19:00当たりの六時間を過ごすのかと着席後に後悔した。
最初に行われる男子部だけ見て帰ろうかと思案しているうちに幕が開け、
結局最後まで席を立たなかった。
ジャンル分けすれば、ユーモアミステリーということになるだろう。
「強盗の真犯人はこの中にいる!・・・・はずだよね?」というノリで、
監獄に閉じこめられた9人が互いの素性を明かしたり探ったり。
一部、台詞が聞き取りにくい所があった。
これは俳優さんになんとか頑張ってもらいたい。
強引なダジャレでストーリーをつなげる所があった。
牽強付会でスマートじゃない気がしたけれど、これはこれでコントじみた味になっていて、たぶん(広義の意味での)確信犯の作りだろうし、嫌いじゃないし良かった。
他。
全部良かった。
面白く、この先の舞台も期待させてくれたので★五つ
特に登場人物の設定・使い方が面白かった。
基本形が決まっていて
・真面目で不運そうな 銀行員(女子だとツアコン)
・地元に住む落ち着いた 雑貨屋店主(女子だと地元総菜屋)
・大将肌の ホスト(女子だとホステス)
・良識家の ホスト(女子だとホステス)
・頑固な ヒッチハイカー
・社交的な ヒッチハイカ
・弱気な ヒッチハイカー
・風変わりな 腹話術師(女子だとフォークシンガー)
・うさんくさい 詐欺師
・英語しか話さない 看守(男女版とも同キャストの男性)
となっている。
劇の売り文句通りにストーリーの骨格は同じなのに、肉付きが異なっていて、
結果「兄妹のように似ているけど同一でない」二つの物語になっていた。
たとえば、あることがきっかけで喧嘩が起きる。
その風景を男子部では、小学生悪ガキが拳を振りかざしてブンむくれするような脚本と演技で表して
女子部では、修学旅行の班分けで揉めているような、尖ったののしり合いをコミカルに演じていた。
そのような小ネタからクライマックス、はたまたそんなとこまでと、「同じストーリー?」と疑問符を付け足して言葉を切りたくなるぐらいにまでは変えている。
個々に見ても面白いだろうが、
二公演見比べれば、先に見た部の方はネタの前振り的な存在に転化する。
同じ話を二度見せられているという退屈さは、まるでなかった。
ネット予約で男女通しチケットを買うと特典が付くとのことで、頂いた。
「2バージョン観覧後 ご開封されることをオススメいたします」
と封をされた紙袋の中身は、なんと英会話勉強用のCD。
もちろん手作りのこれは劇中ネタを実現したもので、
「やるならとことん最後まで!!」というフレーズが頭によぎった。