イン・ザ・プール
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/05/14
- メディア: 単行本
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デブで変態でオタク中年。
大病院経営の親の庇護の元、やりたい放題のマザコンボンボン。
診察中ですら欲望の赴くまま行動する精神科医、伊良部とその気の毒な患者達の短編集。
登場人物の転落人生が展開されていくが、「トンデモ精神科医にかかった精神病患者の物語」という設定なので、
「相手が伊良部だし、病気なんだから悪くなるよな」と大きく構えて、登場人物の人生が転がっていく様を存分に楽しめた。
笑い飛ばし癒し系。
○イン・ザ・プール
不定愁訴の編集者の話。
ストレス解消にとプール通いを始めるうちに、病状は良好とは言えない方向に転化し、伊良部がそれに拍車をかける。
○勃ちっ放なし
陰茎強直症のサラリーマン。わかれた妻に未練たらたら。
精神科医に相談すれば犯罪行為を薦められる始末。
伊良部が自分の元妻とたたきつけあっていた啖呵に笑えた。
○コンパニオン
被害妄想のコンパニオン。
どいつもこいつもストーカーで若いだけの後輩が策略を練って陥れようとしてくる!
問題は尽きないのに、担当医のデブがあからさまに言い寄ってくる。
○フレンズ
携帯メール依存症の高校生。
高校生に触発され、初めて持つ携帯に浮かれて患者相手に携帯メールをしまくる伊良部。
○いてもたっても
強迫神経症のフリーライター。
タバコの火は消したか確かに本当に消したかと、確認行為が止まらない。
火災の原因は他にもあるよと、伊良部が悩みを付け足していく。