二本の銀杏

二本の銀杏〈上〉 (文春文庫)

二本の銀杏〈上〉 (文春文庫)


【あらすじ】
 幕末初期の薩摩藩
民政の悪さから百姓の逃散が続き、国力が衰え続けるも旧態依然としたしきたりに捕らわれて一向に改善しない。

 武士と山伏を兼ねた若き兵道家、源昌房がふとしたことで調所の知遇を得、改革を始めて行く。


こう書くと偉人伝のようだが、これはフィクションで(良眼房というモデルはいる)恋、色の要素が濃く入った艶物語でもある。

 江戸時代の薩摩という無骨なイメージのある地域色をそのままにしながら語られる恋模様は、朴訥でありながらも生々しく情熱的であるし、源昌房が身を張り、政経に活躍する姿には読んでいて肝が太くなるような感じがする。


 そんな薩摩小説。


 「火の山」「風の鳴る木」と続編があるようなので、機会を作って是非通して読みたい。