ひかりのまち

ひかりのまち―nerim’s note (電撃文庫)

ひかりのまち―nerim’s note (電撃文庫)

 第11回電撃小説大賞 金賞

【あらすじ】
 夜だけが続く季節、日黒期が存在する世界。
 六年前、森に出かけた少年少女が行方不明になる事件が起きた。
 行方不明者のリーダーを兄と持つネリムは、政治家の父を嫌い、消えてしまった兄を敬愛し、そして日黒期の存在に疑問を抱いていた。
 彼は高等部に新たに赴任した保険医のディネに出会い、惹かれる。
 ある日、ふと見かけた彼女を追いかけたことで、兄失踪事件にまつわる「本当のこと」に近づいてゆく。


 科学と魔法が同居した、宮崎駿の「ラピュタ」的世界が舞台。
 アカデミックなヨーロッパの街を思わせるような、暗く落ち着いた雰囲気が漂う世界の描写がいい。


 予定調和な活劇に沿った人物が活躍するようなライトノベルだと思いこんで読み始めたので、天然最悪なことをしがちなキャラ達がどうも好かなかった。
 一般小説の恋愛物とかに出てきそうな、生活に必要な計算高さを自然に備えた人物達かもしれない。


<ネタバレ>

 政治家の父親を嫌う主人公が、父を嫌うわけを執拗に説明する地の文を読めば、父子そろって性格が悪そうに見える。
 天才理想家だった兄はテ/ロ/リ/ス/ト(スラッシュははてなキーワードよけ)、友は社会に従ってスパイになっている。
 ヒロインは主人公の兄の代理品として主人公を誘惑して寝取り、利用する始末。
 それらは汚ならしい出来事のように書かれてはなく、理想と現実の葛藤が激情的に書かれているでもなく、淡々とした筆致で書かれている。

<ココマデ>

 もうちょっとバカ熱いとこがあると、好みだったかも知れない。