五本のバトン

 http://www.neoweb.jp/level-i/top.htmlさんから不幸の手紙が回ってきました。
 Musical Baton という企画だそうで。(詳細は はてな?リンク先へ)




* Total volume of music files on my computer (コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量) 
   13.9GB


* Song playing right now (今聞いている曲) 
ラヴェルボレロ。集中力が増すとかで、私の中では修羅場に永遠とリピートさせるデスマーチ・ミュージックとなっている。


ドビュッシー:交響詩「海」

ドビュッシー:交響詩「海」



* The last CD I bought (最後に買ったCD)

エデン

エデン

  amazonからさっき届いた



* Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me (よく聞く、または特別な思い入れのある5曲)
思い入れのある曲を。


・おもちゃの交響曲

モーツァルト父子:おもちゃの交響曲、そりすべり、ドイツ舞曲他

モーツァルト父子:おもちゃの交響曲、そりすべり、ドイツ舞曲他

クラッシックに詳しくない。
だけど音楽教育が盛んな小学校に通っていたため、子供の頃には単純で耳障りが良かったり賑やかだったりする曲、いわゆるキッズ・クラッシックを良く聞いていた。



・Pretty Fly (For a White Guy)

Americana [ENHANCED CD]

Americana [ENHANCED CD]

アルバム「SPLINTER」の中のTHE NOOSEの方が良く聴いているが(mp3プレイヤーに入れっぱなしなので)OFFSPRINGを聴き始めたきっかけはこの曲。



・ガブリエルのメッセージ(スティング)

クリスマス・エイドI

クリスマス・エイドI

カセットで聴いた。1992年?もっと昔だったような気がするが。


オホーツクに消ゆ オープニングテーマ

サウンドアドベンチャー オホーツクに消ゆ

サウンドアドベンチャー オホーツクに消ゆ

火曜サスペンスドラマのような、寂れた曲が好きだ。


・# Say Yeah!-もっとミラクルナイト-

TVで歌と踊りを見、「モーニング娘。ってすごいんだな」と初めて思った曲。



 * Five people to whom I'm passing the baton (バトンを渡す5人)



ごめん、やっぱ五本探すの面倒で無理だった。



帰納法障碍 

このサイトにMusical Batonを送ってげんなりさせたい一心で参加しただけだから。

ひかりのまち

ひかりのまち―nerim’s note (電撃文庫)

ひかりのまち―nerim’s note (電撃文庫)

 第11回電撃小説大賞 金賞

【あらすじ】
 夜だけが続く季節、日黒期が存在する世界。
 六年前、森に出かけた少年少女が行方不明になる事件が起きた。
 行方不明者のリーダーを兄と持つネリムは、政治家の父を嫌い、消えてしまった兄を敬愛し、そして日黒期の存在に疑問を抱いていた。
 彼は高等部に新たに赴任した保険医のディネに出会い、惹かれる。
 ある日、ふと見かけた彼女を追いかけたことで、兄失踪事件にまつわる「本当のこと」に近づいてゆく。


 科学と魔法が同居した、宮崎駿の「ラピュタ」的世界が舞台。
 アカデミックなヨーロッパの街を思わせるような、暗く落ち着いた雰囲気が漂う世界の描写がいい。


 予定調和な活劇に沿った人物が活躍するようなライトノベルだと思いこんで読み始めたので、天然最悪なことをしがちなキャラ達がどうも好かなかった。
 一般小説の恋愛物とかに出てきそうな、生活に必要な計算高さを自然に備えた人物達かもしれない。


<ネタバレ>

 政治家の父親を嫌う主人公が、父を嫌うわけを執拗に説明する地の文を読めば、父子そろって性格が悪そうに見える。
 天才理想家だった兄はテ/ロ/リ/ス/ト(スラッシュははてなキーワードよけ)、友は社会に従ってスパイになっている。
 ヒロインは主人公の兄の代理品として主人公を誘惑して寝取り、利用する始末。
 それらは汚ならしい出来事のように書かれてはなく、理想と現実の葛藤が激情的に書かれているでもなく、淡々とした筆致で書かれている。

<ココマデ>

 もうちょっとバカ熱いとこがあると、好みだったかも知れない。

明日の静かなる時

明日の静かなる時 (光文社文庫)

明日の静かなる時 (光文社文庫)


【あらすじ】
 私立探偵が、ある女から失踪した父親の探索を依頼される。
 ターゲットは業績によいメッキ工場をやっている資産家で老境に差し掛かった男だった。
 男が失踪した理由──復讐──を知った探偵は、男の手助けをする。



 引くに引けない戦場に、私的なプライド背負って仁王立ち。
 血ぃ吹き出るほど特訓して、半焼けのビフテキ食って、倒れ込むように寝て、前へ前とはいずりよって、やがて敵を倒しました。


 我が友よ共に快哉を叫べ!
                      <漢>



 というような話で、嫌いじゃない。
 骨格としては少年漫画の王道のような気がする。
 差違は登場人物がやたら老けてて、油ぎっしゅに倫理に反することぐらいかも。
 男の見る夢は友情・努力・勝利なんだなと、妙に納得してしまった。

二本の銀杏

二本の銀杏〈上〉 (文春文庫)

二本の銀杏〈上〉 (文春文庫)


【あらすじ】
 幕末初期の薩摩藩
民政の悪さから百姓の逃散が続き、国力が衰え続けるも旧態依然としたしきたりに捕らわれて一向に改善しない。

 武士と山伏を兼ねた若き兵道家、源昌房がふとしたことで調所の知遇を得、改革を始めて行く。


こう書くと偉人伝のようだが、これはフィクションで(良眼房というモデルはいる)恋、色の要素が濃く入った艶物語でもある。

 江戸時代の薩摩という無骨なイメージのある地域色をそのままにしながら語られる恋模様は、朴訥でありながらも生々しく情熱的であるし、源昌房が身を張り、政経に活躍する姿には読んでいて肝が太くなるような感じがする。


 そんな薩摩小説。


 「火の山」「風の鳴る木」と続編があるようなので、機会を作って是非通して読みたい。

きみのぼくの壊れた世界

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

 まず表紙がおかしい。
 ぶるまぁ体操服って一体。
 図書館で受け取ったときにはどうしようかと思った。
 そして登場人物の名前が尋常でない。


 櫃内様刻
 櫃内夜月
 病院坂黒猫


 読めない。そしてありえない。
 ここまで異界なのは凄くいいと思う。



 あらすじ


 櫃内兄妹は家族愛を超えた次元で愛し合っている。
 その様子を端から見ている友人達に忠告されつつ、二人は禁じられた一線に向けて進行していた。
 そんな櫃内兄妹の間に入り込んできた人物がきっかけで、学園に事件が発生する。
 


 言葉遊びに無為・観念的。
 その辺は「戯言使い」と共通のテイストを感じた。


 だけど登場人物や世界が「戯言使い」のようにスーパーではないので、フィクションの快感・緩和が少なく、人物の苦悩やサイコな感じをより強く受ける。

クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)


各巻あらすじ


クビキリサイクル
 財閥令嬢が孤島の屋敷に天才達を招待した。
 ”戯言使い”の「僕」は、工学の天才”青色サヴァン”玖渚友(くさなぎ とも)の付き添いとして同行する。

 科学・絵画・料理・占術・工学の天才女性五人と、
 その仲間達と、
 館主・メイドが集う島で、密室クビキリ事件が発生する。



クビシメロマンチスト

 ”クビキリサイクル”から抜け出した戯言使いの「僕」は大学生活を始めていた。
 クラスメイトの誕生会に招待されて、参加するが、その翌日にはパーティの主役が絞殺される。
 一方、街では連続切り裂き事件が発生していた。



クビキリサイクルの 第一章の見開きページに出てきた文章。

 世界は優秀に厳しい。世界は有能に厳しい。
 世界は綺麗に厳しい。世界は機敏に厳しい。
 世界は劣悪に優しい。世界は無能に優しい。
 世界は汚濁に優しい。世界は愚鈍に優しい。


 こんな感じで詩的というかキャッチフレーズというか、リズムに合わせて目に引く言葉を並べていく、言葉遊びがふんだんに盛り込まれている。


 個人的には、こういう文を読むのは好きではない。
 私は読解力が低いので、文体リズムと目新しい単語でイメージを加速されると、文章の意味を理解しないまますっ飛ばされて、印象だけを植え付けられてしまうのだ。
 そもそも、その効果を狙ってるようでもあった。
 落ち着いて読んでも意味がわからない。でも雰囲気はわかる。
 と、いうような文が結構あった。
 イカガワシイ呪文で洗脳されてるような気分になるので、ちょっと嫌な気分になる。


 しかし、ゲームなどで見かける分には嫌な手法ではなかったりする。
 あれは音・絵・振動と、あらゆる手段でユーザを洗脳する物のような気がするし。考えるな感じろのメディアかなと。
 そんな曖昧で我が侭な思いこみで好き嫌いが決まるのは、不公平で不思議だなと我が事ながら。


 それはともかく。


 ”天才”や”最強”や”最凶”がそこらにうろつくスーパーな世界に属している主人公達の論説は、複数の常識と現実を知っている(── 世の一般常識と、自分たちのスーパーな常識など ──)故か、観念・精神論的。
かつ、本来複雑な要素を持つ物事を、単純に記号化して組み立て、強行突破をするような詭弁が目立つ。


 主人公たちもそれを自覚していて、ニヒルに嘲笑したり「戯言だけどね」と決め言葉で締めてくる。



 一巻を読んでいたときのこと。
 主人公の過去エピソードが伏線的に語られ、先が気になって読んでいったのに、結局その巻の中では満足いくような話は明かされなかったので、ぽかーんとした。

 
 一巻一巻で、一挿話をフォローしないタイプの物語らしい。
 設定だけ小出しにされているようで、イライラさせられつつ気になってしまう。


 観念論は無為な奇説に陥りがちだ。
 登場人物が繰り広げる無為の悲しさ、奇説・奇行のいびつさを感じる話なのかもしれない。

 登場人物そのものに、様々な”天才”や”英雄”達に、惹かれながら読む物かも知れない。


 設定に興をそそられているので、先を読んでみたいとも思う。